オンライン同人誌即売会が難しい理由考

※これは私の持つ知識から導き出されるものである。何か調査をした訳ではないので悪しからず。

同人即売会をオンラインでやればいいというアイデアはインターネットを知っていれば自然と湧き出す物だと思う。 が、現実としてはオンラインで同人誌即売会は芳しくない。何故だろうか。

考えうる障害

次の問題が障害になっているのではないか。だいたい次が思い当たる。

  • イベントの特性
  • 通信インフラ
  • 設備システム
  • 法的問題
  • 金銭的問題
  • 課金インフラ
  • 著作権保護
  • 通信の秘密
  • 人材供給
イベントの特性

まず、東京のビッグサイトで行われるイベントを想定する。 そうするとこれは何なのか? ここにわざわざ行くのはやはり一種のお祭りだからと言うのがある。 じゃあ、お祭りとはなんですか?

  • 人が集まっていることを実感できる
  • 周りの人間を観察できる
  • 会場の雑踏、雰囲気を味わえる
  • 予期しないものが目に入る
  • 気軽に他人に話しかけられる

以上からやはりVR空間相当でないと厳しい事が予想される。 もちろんMMORPGのように作り込んでも良いのだが。

何がいいたいかと言うと、技術書典のオンラインイベントのように

  • 一般参加者にログインを要求する
  • ブースがただのオンライショッピングサイト
  • 他の参加者は見えない、会話できない

という形式ではわけが分からない。やる意味あるの?と。全くお祭り感がなく、まだコメント書けるPixivの方がマシだと思う。

通信インフラ:

参加者の通信インフラがショボい(スマホしか持ってない)

サービス提供側はこの辺りはパブリッククラウドの登場でだいぶ緩和されたように思われる。

設備システム:

参加者がスマホしか持ってない。VR機材無いんだから仕方ないやん。 同様に、PCやタブレットがあってもショボい可能性は否定できない。

法的問題:

イベントをオンラインでやると、参加費を取る以上、風営法の範疇に入ると思われる。 今までお目こぼししていたなにかもここではどうなるかわからない。 また、資金移動事業者ともなればまた倒産時の保証用積立金や、犯罪収益防止法の管理も必要になると思われる。

課金インフラ

厄介なのはここで、どうするんだよと。 素直に長い物に巻かれてクレカ決済をすればいい?クレカ会社が獣姦ものの同人誌に許可してくれるかな? 事実上、諸外国のポリコレ棒で叩かれて決済を通せないだろう?常識的に考えて。 じゃあ、circle.msの様に内部ポイントを持つのか? そうなると資金移動業者になるし、国に届け出が必要になる。 それでもこのイベントが怪しいとクレカ会社に見られればポイントさえも断られる。

あと、国税局から売上が可視化されるので迂闊に大金を稼ぐとすぐ足がつく。まあここはルーズな参加者には厳しいわな。

著作権保護

ここも参加者で合意が取れない気がしてならない。

見本誌どうするの? フル解像度で出せば、コピーできてしまう。フル解像度はなしとかウォターマークを付けるとかか。 でも情報はコピーできるのでそれで満足してしまう人間が多くなるかもしれない。 やりたい放題の外国人業者はさっさと外で売り始めるだろう。

現行のイベントであれば紙なり記録媒体を物理的に頒布する、物理媒体のコピーに価値はない的なものは原則コピー可能なためすべてなくなる。 ここで文化抹殺手段であるDRMが必要だとか、ストリームで売りたいとか、いろいろ出てきて頒布を受ける側は相応の文化変更を強いられる。

頒布形式は頒布者の自由なんだけど、DRM付きとか悪夢だし、noteの様なオンラインサイトに有るからいいだろ?も 結局アクセス履歴で足跡が残るを考えると微妙なのである。(まあローカルにコピーすればいいと言えばいいが、誰がが買ったかは外部漏洩しうる欠陥がある)

図書館宣言ともかぶるが、統治、治安維持の観点で思想調査を警察は出来たらしたいと思っているので、 憲法にある思想信条の自由を鑑みれば基本、令状なしで誰が買って見ているなどを警察に漏らしてはいけない。 ここは運営の本気度、情報の頒布に対する理念が問われる所なのだが 園児ニャー営利企業だとその辺り社長が情報は漏らして当然のゼロプライバシー主義者だったりで非常に希薄なので心配である。

とはいえ、映り込みなどでは法改正で喧嘩はできなくなったので、一歩進んだのかもしれない。

通信の秘密

ここが多分本丸で、政府が良からぬものと法規制対象ではないものを入手したとして 追跡する事態が発生しうる。このへんも物理開催であれば当事者同士でやってくれで済んだものが、開催者側にも 当局からの令状なし照会要求が発生しうると考えられる。

人材供給

多分、コミケクラスでもそれなりに苦労するんじゃないだろうか

コミケのスタッフは確かに練度は高いが業務内容の知識は技術体系的に高度なものは要求されない(とスタッフはやったことはないので勝手に思ってる)

ITシステムとなるとそれなりに面倒くさいIT知識が要求される上に、そのレベルの人間を供給できるのかと言うのはあって システムの一生問題がつきまとうようになる。年数回の開催のために相応にテストも必要になる。

ただ、会場運用の違いはあれど大まかな機能は同じなので何処かがサービスインしたら出来るのではないだろうかという気はする。

ただ、その場合、情報流通の自由に関する理念は開発会社側が理解せず作り込んでいる可能性を考慮しなくてはいけない。 そう、FBのようにプライバシーロスト状態になる、直ぐに警察が踏み込んでくる、炎上で吊るし上げられる等が想像される。

理想のオンライン同人誌即売会

多分、次の要点を抑えると良いのでは

  • 参加者が見え、雑踏表現してお祭りで有ることを演出する
  • 参加者どうして会話が可能
  • 風景として同人誌がブースが見える
  • ピコ手にも優しい、決済手段名寄せできない電子決済が統一して完備されている
  • 買ったものを運営にも把握されず匿名で入手する方法がある
  • 一般参加者の業務上必要な個人情報は握らない
  • 運営はできればプロバイダー責任法の免責条項に適合する体制にする
  • 運営はできれば憲法に有る通信の秘密による免責を受けられる通信事業者法に適合する体制にする。

同人即売会が愛されるのはそこにアンリミティッド、制約はやる気と体力と時間だけと言う商業では出来ない情報が有るからなんですよ。 だから、出来る限り他人の人権を侵害する以外の理由で制約されてはいけない。(著作権だけは毎回もにょる)

法規制に関して

この国には憲法に通信の秘密がありながら、 残念なことに違法情報という概念が存在する。

なので、運営側は頒布物に関しては事前に検閲をせざる得ない。とても残念なことだが。 (どうやれば役務上関係ない通信内容を覗けない通信業者ですという言い訳は通用するだろうか?)