Tia142漫画ネタ

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(怪獣だぁ!逃げろ!)

ああ、我らがカンムス

(カンムス様だ!カンムス様が来たぞ!)

その美しき女神は童子のごとき妖精を従え

(お嬢!動けるのは五分だけだぜ?)

(承知!)

怪獣をたやすく

(来た怪獣の!攻撃だ!)

(聞かぬ、一刀両断!)

ほふり星を開放してきた

(カンムス様万歳!)

何時からおりたのや?

(ふん、たやすいもんだぜ!)

人類有史以前?さにあらず、この星の歴史にあり。

それはこの星の開拓初期、宇宙で初めて人類が”奴ら”の猛威に相対した時に遡れり

-2----総裁当局

時既に恒星間探査船に星間ゲートにて超光速移動を実現した時代の話なり。

銀河にひろがりし人類はとある星系で惑星ごと消滅させるしか手の打ちようがなかりせしAIの反乱を経験したり。 反乱鎮圧後、兵権をAIに渡す事を禁じ、人間のみが握ると規定する星間条約を結びたり。これを星間条約連盟といいたり。

しかしAIは禁止すれどもAI級効率の人類圏未接触生物との遭遇はいずれは迎える事態と危惧されし。

もしかの生物が出現し、現地入植者を殲滅せし時はAIの時と同じく、即ちに”恒星落としの刑”に処す事と同時に定めれり。 ”恒星落としの刑”、それは入植惑星だった星に隕石落とし軌道を変え惑星ごと灼熱の主星の落とす最終手段なり。

それを星間条約では”上位侵略性未接触生物”と呼称せり。

このカンムスの生まれる星”八千代”へ、夢と希望の引き換えに莫大な借金を抱えたる入植団達、 星間条約を結び星間条約連盟に加入をはたして降り立てり。

-3----

そして時過ぎること数年、順調に行くと思われたその時、”奴ら”現れり

怪獣とその眷属達、

おおその20mを優に超す巨体やおぞましき姿、火を吐き光線を発射し入植者を圧倒することすまじき。

「あんな害虫踏み潰せ無いのか?」「あんた大きさ分かってんのか!?」

精々盗賊対策でしか無き治安部隊を歯牙にもかけず一蹴し、都市を木の葉のごとく壊滅せしこと甚だしき

急遽傭兵団を雇うも初戦で遁走の有様にて、

「砲兵支援だけはしてやる!前線は自分で支えな!」

やむなく住民総出で抵抗部隊、市民兵団を作り、阻止を試みたるが焼け石に水のごとし!

「うわー助けてくれ!」「ここで食い止めるぞ!」「爆破!」

絶望的な状況がそこかしこで少しでも怪獣の歩みを止めるべく展開されり

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ああ、どうしよう

「防衛線が突破されました。」「逃げ遅れた部隊が救援を求めています」

「救援をだせ!人間が死んだら元も子もないんだぞ!」「次の防衛線に退却を急がせろ」

「砲弾備蓄があと1ヶ月分もありません」

「とにかく戦線を安定させろ、話はそれからだ!」

頭を抱える八千代開拓政府の長、将軍様

あまりの惨劇に次々と帰ってしまう武器商人達(これは駄目だ、宇宙戦艦級でないと無理だぞ)

今までの苦労を、これからの未来を全て破壊し尽くすあの怪獣をなんとかしなければと決心せり

「で、提案が有る人物が居るのですがー」

残るは一人の胡散臭い行商人のみなり

「ええい、良いから連れてこい!」

このまま人類はこの星八千代から駆逐されるのかや?

「このままでは来月の砲弾枯渇で防衛戦線が突破されます」

「これまでか・・・」

「いいえ、まだ手が有ります」「連れてきたぜ?」

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そこに売り込み行商人に連れてこられたるは伝説の博士、カンムスの生みの親なり

「機械でもないAIでもない、我らが人間が怪獣を倒してみせましょう」

黒き怪獣を踏みつぶすその大きな足は一体誰や?

おお、この麗しき原始のFirstレディ、博士の相棒ではないか

「こんな汚れ仕事、これっきりよ?」

光り輝く槍で一閃、沸騰する大地、飛び散る肉片

「女神様だ・・・」

その神々しき姿に人々は涙したり。

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博士は語れり

「我らに足らぬのは体格、それも怪獣など一蹴できる大きさ」

「怪獣が真似る?それは不可能なのです。我々の、宇宙太陽光発電という惑星表面積を超えて太陽定数を凝縮できる動力源が無い限り熱力学第二法則により不可能なのです!」

「弱いものいじめ?いいえ!我らは必勝必滅を悲願とし奴らに引導を渡すのです」

「何故ならこの星の生存権を賭けた勝負、負けた方は叩き出される運命なのだから」

「この麗しく、少なくとも人類の半分には快く受け入れられるであろう容姿」

「宇宙戦艦の主砲直撃でなければ傷が付かない身体」

「人間と同じタイムスケールで駆動できる巨体」

「そして、24時間365日作戦行動ができる休息不要な持久力」

「その間補佐するいかなる妨害も受け付けない人間が潰れる加速度にも耐えられる強靭な内部補助人員、妖精さん

「われわれ人類が、人類のパワーを以て勝利するのです」

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その頃、星間条約連盟では怪獣たちの力と数、”上位侵略性未接触生物”、AI級の力を恐れたり。 星間ゲートを閉じ、殲滅をするか否かの会合が連日連夜、専門家を集め行われり。

「星間ゲートは閉じよ。連絡が途絶え次第、殲滅艦隊を派遣する。以上だ。諸君、異議はないかね?」「異議なし!」

そして将軍様にその報伝わると決心したり。

「腹を決めたよ」

「我々が生き残れば、それが勝利だ」

腹をくくった将軍様

起死回生一発逆転、そのためのカンムス数を揃えるべく首都さえも捨て最終防衛線、 宇宙太陽光発電の受電設備が有りカンムスの生まれる場所、カンムスの里へ退却を敢行すると号令をかけたり。


そして・・・星から逃げる意志と能力の有る者達があらかた居なくなりし頃・・・

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反撃のときは来たれり、里で生まれし居並ぶ女神カンムスに将軍様の最後の激が飛べり!

「諸君、機は熟した。人類に栄光あれ!」「人類に栄光あれ!」「乾杯!」

「突貫!」

ああ我らが鉾、我らが剣、向かう所肉片とならず敵う怪獣はなし、

日が暮れるとも、夜が明けるともその矛先、鈍ることなし。

生死をかけて押し寄せる黒い怪獣の波を間髪入れずに次々と倒しけり

「1000匹目!」「まだまだ!」

その鉾先は幾日も幾月も、留まる事は無し。積み上がるは怪獣達の躯の山々なり

おお、ここに危機去れり、カンムスにより人類はこの星に生き残れり!

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里から生まれいづるカンムス達、生存圏防衛線の確立に次々と出征せり その凛々しきカンムスの姿を見たる残った市民が沸き立ちぬ

その一方で遥か上空、軌道上にてお別れの会、催されり。

名残惜しむ将軍様

「博士、行ってしまうのかね?」

満足気にきりりと背筋を伸ばす博士

「私の目的は達成され、起案の正しさは証明されました。我々は怪獣の故郷に赴きます」

そう言うと博士はレディと星を離れたり。

そして向かう先に星の海を単独で渡り切るという深宇宙探査艦が航海の年季が入った姿で待ちにけり。

迎えるはあの胡散臭い行商人

「待ってたぜ?」「お世話になるわ」

恒星間探査船に乗った行商人と共に星の彼方に旅立てり。

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なぜ、まだカンムスはこの星に居るのかや?

そはみなの足元に怪獣の種が眠っているからなり。

時が経てば怪獣の種は根を張り力を蓄え、そしてまた人類に仇なすべく現れるなり。

「うーっす。先輩、こっちの駆除終わったっす。」「おつかれー」

そのカンムスの任務が消える日は真に怪獣を調伏せる方法を人類が見つける遥か未来なり

その時、カンムスも妖精さんも人間になれるという・・・